| ケナフは森を救わない 近年の環境問題に対する意識の高まりにより、我業界においても「ケナフ」というものが、一般の人達にクローズアップされるようになった。学校や一般家庭においても栽培されているのがよく目に付く。「ケナフを木材の変わりに紙の原料として使用すれば森林の伐採を防ぐことができる。」といった類の話が世間一般の常識として定着してしまったのが理由の一つと考えられる。確かに、非常にもっともらしい話であるが、実はこの常識は大きな間違いなのである。それは次のように説明できる。 <森林を伐採している訳ではない> 日本国内で生産される紙の量は約4000万トン。その原料のうち約55%が古紙、30%が住宅廃材や住宅用に使えそうもない木材をチップにしたもの、残り数パーセントで特定の物に限り非木材パルプと原木を使用している。つまり、決して森林を伐採して紙を作っているわけではないのである。 <二酸化炭素吸収の効率が悪い> ケナフは成長が早いと言われているが、製紙メーカーの実績によるとユーカリとほぼ同等である。ケナフは連作すると土地が痩せるため、年々収穫量が落ちる。となると二酸化炭素の吸収量も落ちるため,実際の作付け面積の他に広大な遊休地が必要になってくるのである。 <ケナフはコストが高い> 草本植物であるため年1回の収穫しかできず、広大な保管場所が必要となってくる。また木材チップと比べて重量あたりの容積が3倍になるため輸送保管効率が悪い。(原料の入荷が安定しない。)パルプの収率が木材よりも6%程低い。といった諸々の条件で木材品よりも5〜6倍もの生産コストがかかってしまう。となると付加価値の高いものにしか適応できない。 <生態系への影響> これまでわが国には存在していなかった植物であり、これを大量に栽培することによる他の植物、人間のアレルギー等への影響はまだ確認されていない。代のセイタカアワダチソウにもなり兼ねないのである。 このように、現段階ではケナフを大量に栽培し木材パルプの代用とする案は非現実的で、ナンセンスなのである。ただケナフ紙がもつ独特の風合いには定評があり、特別な物の用途に今後もケナフの使用量は増えていくと考えられる。 |